2020台湾総統選挙の結果について解説、実際なにが起きているのか

国際問題

 

皆さんこんにちは。

今日は日本でも連日話題になっている台湾総統選挙について、一体なぜこんなに注目されているのか、あまり理解できていない方に向けて簡単に解説したいと思います。

今回の選挙は実質 台湾vs中国

今回の選挙は蔡英文(民進党)と韓國瑜(国民党)の一騎打ちでした。

実質これは、台湾民主主義vs中国共産党の対決となっていました。

 

民進党とはどんな党?

台湾では国民党の独裁が40年続きましたが、それに対抗する勢力として出てきた台湾史上初の政党がこの民進党(民主進歩党)です。

民進党は元々は台湾独立を目指す政党でしたが、国家として認める国は少ないにせよ台湾は現状すでに独立状態にあるため、基本は現状維持することを掲げ、また変更する場合は必ず国民投票を行う、としています。

一時は陳水扁の汚職などもありましたが、現在の「台湾人のアイデンティティ」を代表する政党であると言えます。

 

なぜ国民党が親中派に?

国民党といえば、中華人民共和国設立のときに中国共産党に敗れて台湾に逃れた蒋介石が率いていた政党で、元々は孫文が立ち上げて「民族」「民権」「民生」の三民主義を唱えていた政党です。

もとは民主主義を掲げていた政権ですが、なぜ現在は中国共産党と親しくなっているのでしょうか。

国民党は正式には「中国国民党」であり、党名には変わらず「中国」を掲げています。「共産党」は置いておいても、そもそものスタンスとして最終的に中国との統一を目指しているのです。

過去の李登輝総統の時代には中国と距離をとる傾向が見られましたが、李登輝さん以降からは親中傾向が強まり、2005年の胡錦濤との会談では「台湾独立反対」の方向で意見を一致させ、その翌年からは中台経済交流フォーラムまで開催されていました。

「経済的な観点から親中化していった」というのが実情です。



民進党の勝利から分かること

選挙の結果は、蔡英文(民進党)が過去最多の817万票(57%)を獲得して勝利しましたが、これはつまり「中国と距離を置くべきとする反中派」が多数派であるという結果です。

国民党が政権を握れば中国との統一が進むことが国民には分かっているからです。

多くの台湾人は中国との統一を望んでいません。

現在の香港で起きていることは、中国の「一国二制度」を受け入れた結果として訪れた悲劇です。中国は香港に対して公言した一国二制度を守っていませんし、国民党に政権が渡れば台湾も香港と同じ道を辿ることが香港をリアルタイムに見ていて分かるため、民進党の勝利を後押しすることになりました。

中国が自分で犯したミスとも言えますが、中国政府とメディアは蔡英文を罪人扱いして、経済制裁を強めるとか武力行使も辞さないなどとほざいています。台湾国民が選んだ結果だということを認識して欲しいです。

そして、今回の選挙は海外諸国からも注目されていましたが、アメリカやフランスをはじめとした多くの国が台湾の民主主義を絶賛しています。つまり、「台湾の味方」となる国の方が多いと言えます。

 

国民党の得票率も38%と高かった理由

しかしながら国民党の韓國瑜も負けたとは言え、38%もの票を獲得しました。

正直わたしは多くても20%ぐらいかと思っていたので驚きました。

彼が当選すれば台湾も現在の香港と同じようになる可能性が高いのに、なぜこんなに支持されたのでしょうか。

大きくは以下の2つの理由が考えられます。

 

中台ビジネスの関係

台湾人であっても、特にビジネスの関係から中国との関係が悪化すると困る人は大勢います。

中国に進出している台湾企業、台湾に進出している中国企業いずれも台湾の経済を支えています。台湾が最も得意とする半導体の製造業でも、主要顧客は中国のメーカーです。

また、さっそく中国政府が中国人の台湾旅行を制限する動きをとっていましたが、旅行客が減ると観光業界は大打撃を受けるのは間違いありません。台湾のインバウンドで一番多いのは中国大陸からの人たちです。

 

韓國瑜の人気

韓國瑜は高雄市の市長であり、特に台湾南部で年配の方々を中心に人気を集めています。彼の話は親和性があり、人々の共感を得るのが上手いという評判があります。彼個人のファンも多いのです。

しかし一方で、特に民進党支持者からは、彼の話は上っ面だけで中身がないと批判する声も聞かれます。

いずれにせよ彼個人の人気もあってこれだけ得票率が高くなったのは事実です。

 

まとめ

今回の台湾総統選挙は、もはや中国との関係一点になっていたと言えますが、台湾アイデンティティがより一層強まる結果となったのではないでしょうか。

これから中国がどんな経済制裁、武力行使に出るのか注目ですが、台湾だけではなく海外諸国も大きく注目しています。

また、アメリカは台湾との間に、中国が台湾に攻め込んだらアメリカが助ける、という約束を交わしています。

このこともあり、中国が目論む台湾統一問題は、台湾と中国だけの問題ではなく世界が大きく関わってくることが予想されます。

中国政府、メディア、国民は台湾をどう思っているか。台湾総統選挙のあとの反応を見てみる。